お庭に芝生スペースを希望される施主様はたくさんいらっしゃいます。

夢のマイホームに明るい芝庭。

見た目のイメージも良いですよね。

子どもと遊んだり、ワンちゃんを自由に走らせたり、ちょっとしたスポーツを楽しんだり・・・。

見た目以外にも、芝庭だからこそできることがたくさんあります。

芝生はお庭の中でも人気の高いアイテムですが、「天然芝はメンテナンスが大変そうで・・・」と心配される方もいらっしゃると思います。

今回はそんな皆様のために、天然芝について解説してみたいと思います。

※天然芝は、一般的な「コウライシバ」を想定しています。

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芝生が育つ条件

人工芝にはありませんが、天然芝には育てるための条件があります。

ずばり「日当たり」と「水はけ」です。

この条件を満たしていないと、芝生はきれいに育ちません。

日当たりについて

基本的に一年中日が当たらないような場所では、芝生は育ちません。

建物の北側などの日が全く当たらない場所は、残念ですが芝生は諦めましょう。

かといって、一日中、日が当たる必要はありません

春から秋の生育期(4月頃~10月頃)に、日照時間が4~5時間あれば大丈夫です。

11月~3月は芝生も休眠期ですので、表面が茶色く枯れたようになっています。

この期間に日当たりが期待できなくても、さほど問題はありません。

理由をざっくり言うと、「休眠期には光合成をしないので、光合成をするために必要な日光が必要ない」ということです。

ただし根は生きています。

水不足で根が完全に乾燥してしまうと、翌春の芽吹きが悪くなったり、そのまま枯れてしまう可能性もありますので、1~2週間に1~2回の頻度で、天気の良い日の日中に水をあげましょう。

なお日当たりが悪い時期があるということは、風通しが良くなかったり、下地の土壌に影響がある場合があります。

育つことは育ちますが、やはり日当たりが良い場所に比べると、生育が悪くなったりする可能性があるということも付け加えておきたいと思います。

水はけについて

芝生は湿地を嫌います。

すーっと水が引いていくような土が大好きです。

芝生を貼ろうとしている場所の、土の状態はどうでしょうか?

雨の次の日まで水が残ってしまっているような土は、芝生にとって良くありません。

このような場合は、長年にわたって踏み固められたカチカチの土である場合が多く、同時にコンクリート片や砂利などが混入している場合も多いのでなおさらです。

このまま芝を貼っても、生育不良になるのは目に見えていますので、注意が必要です。

なお「日当たり」と違って「水はけ」は、土壌改良をすることである程度改善することができます。

土壌改良のコストがかかるのがネックですが、綺麗な芝生を育てるためには外すことはできません。

芝生のメンテナンス

こちらも人工芝には基本的に必要ありませんが、天然芝の場合、その後のメンテナンスが必ず必要です。

皆様が最も気にされる部分だと思います。

一つずつ解説していきたいと思います。

芝生の水やり

まずは水やりです。

特に芝を貼った年の夏場は、できれば毎日。

気候によっては、一日数回あげた方が良い場合もあります。

根付いた翌年以降も、夏場は週に3回以上は行いたいところですが、これがなかなか大変です。

冬場は週1回程度、晴れた日の日中に行います。

春~秋は週に1~2回程度。

春は徐々に増やしていき、秋は徐々に減らしていくのが正式な水やりの方法です。

ところで回数以上に重要なのが「量」であることはあまり知られていません。

「表面に水が溜まって~引いて」

を繰り返しながらたっぷり与えてください。

水分をゆっくり浸透させることで、根まで水分を届けることが重要です。

芝刈り

きれいな芝面を保とうとすれば、1シーズン4~5回以上の芝刈りが必要です。

刈高の目安は1cmほど。

5cm以上になる前に刈り込むことで、密度の濃いきれいな芝生を作ることができます。

刈る方法は、手刈りか機械刈り。

小面積であれば手刈りでも十分ですが、頻度を考えると芝用バリカンのような機械もおすすめです。

芝刈り機は大きいものから小さいものまで色々ありますので、芝生地の面積や機械の動力などによって決めましょう。

ちなみに芝刈り後に飛散した葉は、ちゃんと集めて処分しましょう。

そのままにしておくと、病虫害の原因となります。

雑草取り

雑草は種子を付けて繁殖すると手に負えなくなりますので、見つけ次第除去するのが好ましいです。

匍匐(ほふく)茎で広がる雑草もありますので、根から除去するのが本来はベストです。

完璧にやろうとすると、水やりや芝刈り以上に大変な作業になるのは間違いありません。

芝生用の除草剤も市販されていますので、うまく併用するのも手だと思います。

芝生に限ったことではありませんが、

「庭仕事とは、雑草取りに始まり、雑草取りに終わる」

とさえ言われています。

もはや戦いですね。

その他

その他の芝生のメンテナンスには、

・目土かけ

・施肥

・エアレーション

・病害虫防除

・枯れた部分の植え替え

などがあります。

今回それぞれについて言及するのは避けますが、きれいな芝庭を保つためにこれらを全て行うとすると、その作業量はかなりのものになります。

芝生は大変と言われる所以ですね。

ゴルフ場のように専門のキーパーさんがいれば別ですが、一般のご家庭ではここまでメンテナンスをするのは難しいはずです。

では天然芝は諦めるか?

というと、実は最低限のことだけやれば何とかなる場合が多いのも事実です。

では、最低限これだけはやった方が良いというメンテナンスについて、説明します。

最低限必要な芝生のメンテナンス

一般家庭の芝庭で最低限必要な作業は、

「植え付け当初の水やり」

「年2回程の芝刈り」

の二つ。

植え付け当初の水やり

植え付け当初の水やりは、芝生が根付くための絶対条件です。

特に夏場は絶対です。

水の量は、先程説明した通り。

これをやらないと、まず間違いなく芝生は枯れてしまいます。

夏季休暇に旅行に行かれる方は、特に注意してください。

芝が根付いた翌年以降は、多少さぼっても即枯れるというわけではありません。

植え付けた年の水やりが重要です。

年2回程の芝刈り

最低でも年2回程の芝刈りはやはり必要です。

水やりと違って、やらないと絶対枯れてしまうわけではありませんが、見た目が悪い上に伸びすぎた芝生は病虫害の原因にもなりますし、厄介な雑草も繁茂しやすくなります。

また、伸びすぎたところで一気に芝を切り戻すと、生育不良になったり、部分的に枯れてしまって元に戻らないこともあります。

このような状況を作らないためにも、最低でも年2回程は芝刈りをしたいところです。

2回は、湿度が高くなる前(梅雨前)と夏の生育期でしょう。

なお芝刈りを頻繁にすることで芝目が密になりますので、雑草が入り込む余地が少なくなり、結果的に雑草の発生を抑制することができます。

年2回と言わずに、雑草取りの手間を省くためにもできれば芝刈りの頻度は増やしたいところです。

と、最低限必要な作業はこの2つ。

少しはできそうな気がしてきたのではないでしょうか?

芝生のメンテナンスを楽にするために

次に、さらに芝生のメンテナンスを楽にする方法を考えてみます。

外水栓の位置

絶対条件の水やり。

芝生の近くに水栓があることで、ホースをさばいたり巻き取ったりする余計なストレスが軽減されます。

また水やりは基本的に芝生地の奥の方から行いますので、外水栓は手前に合った方が、水やり後退散する時に足元が濡れないで機能的だと思います。

適切なホースリールを選ぶ

まずは実際の距離と、ホースの長さを確認しましょう。

20m・30mなどとそれによって値段が違います。

ホースリール本体はピンきりですが、あまり安いものは避けた方が無難です。

デザインに拘らなければ、中価格くらいのものをおすすめします。

高価格のものは確かに使いやすいのですが、デザイン的な付加価値で高くなっている場合も多いので、中価格帯のものをおすすめとしました。

「シャワー」「ジェット」「ストレート」などのダイヤルの使いやすさと、巻き取りやすさがポイントです。

ホースリールは値段によって、全く使い勝手が違います。

店頭ではあまり長くホースを伸ばして試せないと思いますので、もし迷うことがあれば中価格以上のものを選んだ方が、後々後悔することは少ないと思います。

芝生地を囲む

芝刈りをしやすくするための、デザイン的な工夫です。

芝生地を何か園路のような形にして囲ってしまえば、歩く際も、芝刈りの際も非常に機能的に使うことができます。

雨の日や水やりの後、足元が濡れることなく歩けるというのは、庭における機能性の高さにも結びつきます。

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省管理型のコウライシバ

コウライシバの品種に、「TM9」という品種があります。

最近は流通量も増えてきているようで、ホームセンターでも目にすることが増えました。

確かに相応の性質・機能性があり、非常に良い芝生だと思います。

・芝生の価格が高い(一般的なコウライシバの約3倍)

・ワンシーズンの生産総量が決まっていて、取り扱い期間も短い

・売り切れたら終わりなので、ちょっと足りなかったりすると最悪

・それなりに伸びるので、結局それなりの管理は必要

などはありますが、特に小面積の場合にはおすすめの芝生です。

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では、今まで述べた生育条件や大変なメンテナンスを乗り越えた先にある、芝生のメリットについて説明しましょう。

芝生のメリット

価格が安い

床面の仕上げ材としては、天然芝は最も安価な材料の一つです。

一般的なコウライシバであれば、2~3,000円/㎡で施工できます。
(材工共・土壌改良が必要な場合は別途)

広くなればなるほど、コストメリットが大きくなるのは言うまでもありません。

敷地環境が良くなる

夏場は太陽の照り返しや地表温度の上昇を抑えることができ、冬場はその逆の効果が期待できます。

また芝生は葉の量が多いため、湿度変化の緩和や大気の浄化にも役立っています。

芝庭が気持ち良く感じるわけですね。

視覚的な効果

芝生の「緑色」は、見る人に落ち着きと安らぎを与える効果があります。

きれいに刈り込まれた芝生は、見ているだけで気持ちよいものです。

部屋から眺めて、庭に出て、その効果を実感できると思います。

触覚的な効果

天然芝は、何とも言えないクッション性があります。

このクッション性には、踏んだり触ったりするだけで癒しの効果があるようです。

特に素足で踏んだり素手で触ると、その効果がより実感できます。

寝転がって気持ちよく感じた経験、皆様もあるのではないでしょうか?

この感触は日常生活ではなかなか経験することができないものです。

耐圧に強い

しっかり根付いた芝生は、耐圧にも強くなります。

人が乗る分には全く問題ありませんし、車が多少乗っても大丈夫。

これは他のほとんどのグランドカバー植物には無い特長で、芝生の大きなメリットです。

耐用年数が長い

基本的に芝生は、何十年と植え替えることなく育てることが可能です。

芝生が寿命で枯れるということはまずありません。

耐用年数が10年程と言われている人工芝と比べても、天然芝の方が長持ちします。

安全性が高い

天然芝はクッション性があるため、転んだりしても怪我をする心配が軽減されます。

スポーツする時には、膝にも優しいです。

特に小さなお子様がいらっしゃるご家庭にとっては、この安全性の高さは大きなメリットだと思います。

ペットを飼ってらっしゃる皆様にとっても、足裏や爪などへの影響が少なくて安心ですね。

 

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芝生まとめ

いかがだったでしょうか?

芝生の育つ条件とメンテナンスのことから、メリットについてまで言及してみました。

とにかく大変大変と言われる天然芝ですが、最低限の作業さえやっていただければ、それなりに維持できるはずです。

もし天然芝にするかどうか迷っている方がいれば、メンテナンスを楽にする方法を取り入れつつ、ぜひ挑戦していただきたいと思います。

特に小さなお子様がいらっしゃるご家庭には、天然芝はおすすめです。

メンテナンス性とメリットをよく比較していただき、後悔の無いように、じっくりお考えいただきたいと思います。

以上、芝生(天然芝)についてでした。