マンションや分譲住宅とは違い、土地から購入する注文住宅では遅かれ早かれ必ず外構についても考えなければなりません。

駐車場やインターホン・ポストが無い日常生活は、非常に不便で困難なものとなってしまいます。

では、土地の購入~建物の建築~お引越し・新生活のスタートと長期に渡る計画の中で、いつ頃外構工事について考えればよいのでしょうか?

今回は「外構工事を考える時期」について、

①土地を選ぶ時

②建物のプランを考える時

③建物のプランを決める時

④建物の建築中

⑤建物の完成後

この5段階に分けて考えていきたいと思います。

まずは①の前に、土地と外構の費用についてのお話から。

外構工事の費用は土地次第

土地を選ぶ際に、生活環境や駅の近さ、日当たり、どんな建物が建つかなどは皆様気にされますが、外構のことまで考える方はほぼいらっしゃらないと思います。

考えても駐車場の台数くらいでしょうか。

しかしながらどんな土地を選ぶかによって、

・どんな外構ができるのか

・どのくらい費用がかかるのか

がある程度決まってきてしまいます。

特に気を付けなければならないのが、

・広い土地

・旗竿地

・高低差のある土地

・隣地境界ブロックなど未施工の土地

です。

広い土地

土地が広ければ広いほど、外構工事のコストは増加します。

同じ建物が30坪の土地に建つのと100坪の土地に建つのとでは、建物の価格は一緒ですが、外構工事の価格は全く違うものになります。

広めの土地が見つかった時は、たとえその土地がお手頃価格であっても、その分外構工事にも費用がかかるということを意識してください。

旗竿地

旗竿地とは、間口2.5m~3.0m程の出入り口(通路)があり、奥まった部分に住居用の敷地がある土地のことです。

旗竿地では、それ以外の土地では必要のない出入り口(通路)部分の外構費用まで発生することになります。

旗竿地の出入り口部分(通路)は、奥行も10m前後はある場合が多く、駐車場としてはもちろんのこと、ゲスト用のアプローチも兼ねるためにそれなりの仕上げが必要な場所であるとも言えるでしょう。

出入り口(通路)を抜けた先には庭としてのスペースが確保されている場合も多く、そこまで造り込むとなるとますますコスト増となります。

高低差のある土地

道路より敷地が高い土地があります。

土留めが無ければ新たに作らなければなりませんし、上るための階段も必要です。

場合によっては階段に手すりが必要かもしれません。

庭に出た時の転落防止柵も必要になるでしょう。

高低差のある土地は、総じて外構費用もかさむ傾向にあります。

境界が未施工の土地

隣地との境界線上には、ブロックを積んで仕切るのが一般的です。

普通ブロック2~3段積み+網状のスチールメッシュフェンス(H=600~1000mm)というのが、実際によくある仕様です。

境界ブロックは、敷地の目印であるとともに侵入防止や互いの土地に高低差がある場合は土留めも兼ねていることがあります。

境界線の真ん中にブロックを設置し、費用を折半するやり方もまだまだ一般的です。

相手がいることですから、なかなか自分だけやらないと言うわけにもいかないのが現実です。

土地によっては、境界線の距離もかなりの長さとなり、後々それなりの出費が予想されます。

 

さて、ここから本題です。

外構工事を考える時期について説明していきます。

①土地を選ぶ時

土地によって外構工事の費用がかなり左右されるのはお分かりいただけたと思います。

この段階で外構の詳細まで考えなくても良いですが、先般申し上げたような土地を選ぶ際には、外構費用も普通よりかかるということを覚えておいてください。

②建物のプランを考える時

土地が決まり、建物のプランを考える段階に来ました。

建物の配置やプランを考える中でも比較的初期の段階で、

・駐車場の台数

・庭の有無もしくは広さ

はある程度決まってしまいます。

本当はこの段階で外構についても相談していただきたいのですが、建物の間取りや広さ・駐車場の台数は変えようのない優先事項・決定事項だったりしますよね。

日常生活を考える上で、庭が削られるのは致し方ないことだと思います。

建物のプランでの注意点

まだ②の段階では外構まで考えられないという皆様は、ここでは「建物の配置」に特に注意してください。

建物の配置は決定してしまったら、後でどうすることもできません。

特に駐車場がどうなるかは重要です。

建物をあと数十センチずらしておけばもっと機能的に使えたのに・・・。

玄関前の出っ張りを無くしておけば・・・。

という場面が多々あります。

後々後悔しないよう、建物の設計士さんとよく相談することをおすすめします。

中には駐車場や外構の最低限の使い勝手まで考えてくれない設計士さんもいるかもしれません。

もし何か不安なことがあれば、エクステリア・ガーデンの専門家に躊躇わずに相談してください。

③建物のプランを決める時

さていよいよ建物のプランが決まりそうです。

「まだ変更できますよ」と言われている内のなるべく早い段階で、外構工事のご相談をお願いします。

このタイミングが外構を考えるベストな時期です。

外構によって変わる建物のこと

外構工事のデザインや仕様によって、建物本体工事に付随するものが変わってくることがあります。

例えば給排水設備関係では、

【外水栓の場所と数】

外構や庭の使い方によって機能的な場所が違います。

【散水栓と立水栓】

敷地内に散水栓一つのみだと水を頻繁に使われる方は不便な思いをされるでしょう。

立水栓と散水栓を併用させると便利な場合があります。

【浄化槽の位置】

グレーの蓋は大きく目立ちます。

できればなるべく外構の目立たない位置に持っていきたいですよね。

【量水器=水道メーターの位置】

駐車している車の下にならないよう配置しましょう。

【汚水桝の位置】

門壁や植栽の中に入らないように工夫したいところです。

 

電気工事関係では、

【屋外用照明の室内スイッチの有無・数・場所】

室内にスイッチを付けると、屋外照明を室内で直接ON/OFFさせることができます。

室内にスイッチがない場合は、屋外用のタイマー連動となり、自動点灯/消灯します。

室内にスイッチを付け、それを屋外のタイマーと連動させることも可能です。

これは屋外のタイマーを、室内のスイッチでON/OFFさせるイメージです。

【建物壁面に取り付ける照明の有無】

人感センサー付スポットライトなどを本体工事で付ける場合。

外構で照明を付ける場合。

どちらが良いか検討したいところです。

【屋外用防水コンセントの位置・数】

高圧洗浄機、芝刈り機などを使う時、どこにあれば便利でしょうか。

外構によって使いやすい位置が変わってきます。

外構プランが確定するまでの期間

相談からプランの決定まで、最短で1週間ほどですが、数週間~1か月程かかるのが普通です。

数社を比較検討していると、1か月以上かかる場合もあります。

重要なのは、

外構プランを、建物プランに反映できるまでの時期に決定すること

です。

本当に機能的な外構をつくる上では、建物との兼ね合いは切っても切り離せません。

これは建物本体工事と外構工事との永遠のテーマです。

外構によって変わる建物の付随物は必ず一つや二つ出てきますので、その変更が可能なうちに外構も決定してしまうことをおすすめします。

この段階で外構プランが決まっていれば、HM・工務店さんの現場監督さんと打ち合わせもできますので、外構計画に沿った建築計画を作成してもらうことも可能になる場合があります。

④建物の建築中

実際は建物建築中でのご相談・お問い合わせが一番多いかもしれません。

多くの皆様にとっては、やっと外構に目が向くようになるのがこの頃なのだと思います。

④も早い段階であれば何とか間に合うこともありますが、工事が進み始めると外構デザインに伴うちょっとした変更でさえもHMや工務店さんは良い顔をしませんので注意しましょう。

また建築工事が進めば進むほど、外構の自由度・機能性が制限されてしまうのは言うまでもありません。

外構プランの決定や工期に、時間的な制約が加わることが多いのもこの④の時期です。

外構の相談がこの時期になったら

多くの皆様がこの時期のご相談ですし、実際はそれほど危惧する心配はありません。

建物配置の段階で駐車場計画もされているはずですし、一般的な外構であればそれは建物の計画の段階で想定されているはずです。

極端に使いづらい外構になるわけでもありませんし、うまくいけば③でご相談いただいたのと同じ結果になることもあります。

④の時期が遅くてダメというのではなく、③の時期の方がより良いことが多い、というイメージです。

⑤建物の完成後

建物の引き渡しが迫ってきた頃、もしくは引き渡し後のご相談もたくさんあります。

ここまでくると、やはりデザイン的に制限される部分がかなり多くなるのは事実です。

植栽が欲しい場所に汚水枡があって植えられなかったり、水道メーターがあって壁が作れなかったりと色々です。

また「建物の方に追加追加で費用がかかってしまい、外構にかけられる予算が無くなってしまった」と悩まれている施主様が多いのも、この時期のご相談の特徴です。。

完成後に外構を考えるメリット

しかしながら、建物が完成した後に外構について考えることに、メリットもあります。

それは「じっくり考えられる」ということです。

アプローチや駐車場の仮設工事は必要だと思いますが、その他の部分に時間的な制約はほとんどないはずです。

デザイン的な制約がある分、色々なプランをじっくり考えることができるでしょう。

もしくは実際に生活してみて初めて、本当に必要な機能やデザインが分かることがあるかもしれません。

・目隠しが本当に必要な窓

・洗濯物や布団を干す便利な場所

・花壇や菜園が欲しくなった

・自転車置場にはやっぱり屋根が必要だと思った

などなど、生活する前は気づき得ないことが出てくるかもしれませんね。

中途半端に外構工事を急ぐのであれば、生活に必要な部分は仮設工事を行い、重要な部分はじっくり考える。

この方が良い場合もあると思います。

外構工事を考える時期のまとめ

まとめると、

①の段階で何となくイメージし

②か③の変更が可能な時期までに外構プランを決めるのがベスト

④の段階ではなるべく早い段階で

⑤の場合はむしろじっくりと

このようになります。

施主様を取り巻く状況によって、外構工事のご相談のタイミングは様々です。

実際は②・③のタイミングよりも、④・⑤のタイミングの方が多いのも事実です。

これは以前からほとんど変わらない状況なので、むしろ④・⑤のタイミングでご相談いただくのが一般的なのかもしれません。

しかし、それでもやはり②・③の時期のご相談をおすすめしたいと思います。

外構工事には、建物工事との兼ね合いが必ず出てきます。

後で後悔することのないように、まだ建物のご建築がこれからの皆様は、ぜひお早目にご相談いただければと思います。