エクステリアのスタイルについて。今回は「クローズエクステリア」です。
一昔前は主流だった、エクステリアのクローズスタイル。
ちょっと街中を見渡せば一目瞭然です。
年代的にもご実家の外構がクローズスタイル、という方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
近年では決して主流ではなくなったそんなエクステリアのクローズスタイル。
一体どんな特長があるのでしょうか。
ご新築前の施主様はもちろんのこと、エクステリアのリフォームをお考えの施主様、ご実家の建て替えを計画されている皆様もぜひご一読ください。
クローズエクステリアとは、敷地がブロック塀やフェンスなどで完全に囲まれているエクステリアのことです。
オープンとは間逆なスタイルで、アプローチの入り口には門扉、駐車場の入り口にはオーバードアや伸縮門扉が必ず付いています。
基本的に、部外者が敷地内に全く立ち入ることができないようにプランニングされたスタイルのことを指します。
数十年前まではこのスタイルが主流でした。
特に60~70代の方々の中には、現在主流の「オープンエクステリアなどは考えらない」と言われる方もたくさんいらっしゃいます。
自分の敷地に誰でも入ってこれてしまうということが、イメージ的にどうしても抵抗があるようです。
クローズエクステリアが主流の時代を経験されたそんな年代の方々が、今直面していること。
それはご自分の子供達の世代でもある今の30~40代の世代が、オープンスタイルのエクステリアに抵抗なく向き合っていることです。
30~40代の世代は、特に資金面で援助されている場合、もしくはそうではない場合も、親の意見を無下にするわけにもいかず、皆様悩まれてしまいます。
親の方はと言いますと、息子や娘のために良かれと思って意見している上に、自分が時代錯誤だとはこれっぽっちも思っていません。
私も経験上打ち合わせで、何とかして敷地を囲うことはできないかと、直接的にも間接的にも相談されたことがあります。
時代錯誤な面は少なからずありますが、決して間違っているわけではありません。
考え方・捉え方の違いでもあり、ちょっとネガティブな問題ですね。
親世代の時代は、住宅の造園・外構工事というと総工費の20~30%は確保しないと良いものは作れないと言われていた時代です。
それだけ予算をかければ、外周を全て囲って、門扉やフェンスを付けて、立派な庭木を植えて、いくつもの荘厳な庭石を立てて・・・、と確かに立派な庭や外構ができたことでしょう。
しかしながら今は時代も考え方も違います。
建物のデザインも住宅地の雰囲気も、そしてエクステリアやガーデンにかけられる予算も全く違います。
話が逸れてしまいましたが、ここで最も言いたかったことは、
「上の年代の意見を尊重するあまり、クローズエクステリアを選択する必要性は全く無い」
ということです。
親世代の考えが全て間違っているとは思いませんし、むしろその経験則から学べること・参考になることも沢山あると思います。
以下、メリット・デメリットを説明しますので、それと併せて本当に施主様に適したエクステリア(外構)のスタイルを見つけ出してほしいと思います。
敷地はブロック塀やフェンスで守られています。
部外者がふらっと入ってくることはありません。
インターホンやポストを道路境界沿いに設置することで、勧誘やしつこい営業も、敷地外で追い返せるでしょう。
お子様が道路に飛び出す心配も軽減されますし、駐車場に伸縮門扉やゲートがあれば、たとえ前面道路の幅員が狭くても、すれ違いのために敷地に入られることもありません。
敷地内へのいたずらや盗難防止といった面からも効果的です。
敷地が完全に囲われるため、プライベートスペースとしての空間価値が格段に高まります。
塀やフェンスの高さによっては、目隠し機能も併用させることが可能です。
お子様と遊んだり、ペットを運動させたり、デッキやテラスで昼寝したり・・・。
外からの視線や立ち入りを気にせずに、エクステリアやガーデンで気兼ねなくゆっくり過ごすことができるでしょう。
ブロック塀やフェンスを設置することで、空間に立体感や重厚感が生まれます。
塀には厚みがあり、フェンスで高さを出すこともできます。
門扉やフェンスのデザインによっては、さらに高級感も生まれるでしょう。
決してのっぺりとした感じにはならず、家のどっしりとした「構え」を演出することが可能です。
以上、クローズエクステリアの主なメリットです。
一方デメリットは・・・。
何よりもコストがかかります。
オープンエクステリアでは不要だった、門扉やフェンスなどの製品は意外と高価格な上、デザインも限られてきます。
高コストな上に、メーカーのカタログにあるような、いかにもなエクステリアになりがちです。
敷地の外周は、ブロック塀などの延長距離も長くなり、施工手間も工期もそれなりにかかってきます。
総じて高コストなスタイルです。
門扉やオーバードアは当然ながら、毎日の開け閉めを行うことになります。
慣れてしまえば毎日の動作は何ともないのか。
それとも、
面倒で鍵もかけずに扉も開けっ放しになるのか。
門扉やオーバードア、伸縮門扉は高いコストをかけて設置するものです。
ぜひ一度お考えいただきたいと思います。
オープンエクステリアのような開放感は、広い敷地でもない限り、それほど無いといってもよいでしょう。
開放感を感じないだけではなく、壁の高さや透け感によっては、逆に閉塞感を感じてしまうかもしれません。
また製品が邪魔で、人や車の動線を制限されたりすること場合もあります。
不審者が隠れることができる場所を作ってしまうと、防犯上良くないと言われています。
高いブロック塀や生垣など、中の様子が伺しれない囲障物は特に防犯上のデメリットがあります。
いくら周りを囲っても、それを乗り越えられてしまったら意味がありません。
囲障物のデザイン、特にその高さや透け感には防犯上も十分留意する必要があります。
クローズエクステリアは、施主様のご不在時に水道・ガス・電気メーターの検針員が敷地内に立ち入ることができません。
特に不在がちな施主様の場合、ご自身で検針結果をメモして置いておく必要もあるようです。
これも毎月の作業となると、ちょっと面倒かもしれませんね。
以上、クローズエクステリアの主なデメリットです。
メリット・デメリットともに、オープンエクステリアのほぼ正反対であるということがお分かりいただけると思います。
最近少数派のクローズエクステリアです。
少なくなってきているのは、最近の住宅地のオープンな様式と、主にコスト面がクローズアップされているためだと思います。
しかしながら、前述したようなメリットも当然ながらあるわけです。
特に、交通量や人通りの多い道路に面している住宅においては、そのメリットを最大限享受できると思いますし、住宅地の雰囲気によっては、クローズエクステリアの方が調和する場合もあります。
プライベート性を重視される施主様はもちろんのこと、オープンエクステリアしか頭に無かった施主様も、比較する上でもクローズエクステリアの特長を知っておいて損はありません。
最初に世代間のギャップについても言及しましたが、施主様にとって本当に必要で機能的なエクステリアのスタイルは何なのか。
考えるきっかけとなってくれれば嬉しいです。
以上、「クローズエクステリア」についてでした。