エクステリアの「門まわりについて」。

門まわりとは、ポスト・表札・インターホン子機などのアイテムが集約している場所のことを指します。

複数のアイテムが集まる場所だけに、様々なプラン・デザインが考えられます。

どんなパターンがあるのか、施主様が事前に把握しておくことで、後の打ち合わせもスムーズなものになるはずです。

(なお、今回の門まわりは基本的にオープンエクステリアを前提にしています。クローズ・セミクローズエクステリアには当てはまらない部分も多くなっていますので、ご注意ください。)

建物か門壁か機能門柱か

門まわりのアイテムを”どのように設置するか”。

設置方法によって、コストもデザインも使い勝手も大きく変わってきます。

門まわりというと、ポストや表札を始めとする各アイテムを選ぶことに主眼が置かれがちですが、まずはその設置方法を考えてみましょう。

建物の外壁に直接設置する

まずは建物の外壁に直接、表札・ポスト・インターホンを設置する方法があります。

建物の外壁が、エクステリアの門壁・機能門柱の代わりになるために、外構工事で新たに何かをつくる必要がありません。

コスト的には最も有利な方法です。

またエクステリアに、門まわりのスペース的な余裕がない場合も有効ですし、ポストを埋め込み式のタイプ(※)にすれば、外に出ることなく郵便物を室内で取り出すこともできます。

(※)ポストを構造体に埋め込むタイプ。前入れ・後ろ取り出しが一般的

一方デメリットは、インターホンやポストが玄関に近すぎること。

住人と来客のお互いの声がインターホンを介すことなく聞こえてしまったり、窓を開けていた時に突然の来客があったりすると、室内の音が丸聞こえ・・・なんて場合もあります。

部外者が玄関すぐ近くまで入って来てしまうという点もデメリットの一つと言えるでしょう。

またこの設置方法は、建物の設計やプランニングにも少なからず影響を及ぼします。

埋め込み式タイプのポストにした場合は、室内にポスト背面から郵便物を取り出すためのスペースも確保しなければなりません。

インターホン・門灯・表札灯などの電気関係では、事前にそれ用の配線を建物の外壁から出しておかなければなりません。

建物プランの段階でこうすることが決まっていればよいのですが、そうでない場合は追加費用がかかったり、そもそも実現不可能だったりもします。

建物の外壁に直接取り付ける場合は、工務店・ハウスメーカーとの綿密な打ち合わせが必要です。

早め早めに計画することをおすすめします。

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何らかの理由で建物の外壁に付けられなかったり、既に建物のプランが確定していて変更できない場合は、外構で門まわりを考えることになります。

コスト的なデメリット以上にデザイン的・機能的なメリットも多く、実際ほとんどの方は外構で門まわりを考えられています。

建物外壁に設置予定の方もぜひ参考にしてみてください。

門壁を設置する

門壁とは、ポストやインターホンなどを設置するための壁のことです。

壁を立ち上げるのは共通ですが、そのデザインは様々です。

ちょっと外を見渡せば、実に様々な”門壁”が存在しているのがお分かりいただけるでしょう。

コンクリート打ちっ放し・左官塗り壁・化粧コンクリートブロック組積・タイル貼り壁・ウッド造作など、その構造や仕上げパターンは実に様々です。

今回その仕上げにまで言及するのは避けますが、”門壁”全体としてのメリット・デメリットを説明したいと思います。

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門壁のメリット

【エクステリア(外構)にフォーカルポイントができる】

フォーカルポイントとは、造園用語で「視線を集める物や場所」という意味です。

エクステリアにおいて視線を集めるべき場所は、まずは表札・ポスト・インターホンのある場所であるべきです。

初めての来訪者にその場所を示す上で、自然とその視線を集めるということは、デザイン的にも「分かりやすさ」という重要な機能性を保持しています。

【エクステリアのデザインイメージを集約し表現することができる】

どんなエクステリアなのか、その個性やコンセプトを導入部分である門壁で表現することができます。

広い面積のエクステリアにおいて、全体のイメージを一か所に集約して表現できるというのは大きなメリットです。

メーカー既製品の機能門柱よりも、表現できる自由度が高いのがポイントです。

【施主様ご家族の個性を表現できる】

壁の仕上げやポスト・表札の選び方によって、施主様の個性を自由に表現できます。

個性の表現というとなかなか馴染の薄い部分かもしれませんが、気付いていないだけで実は皆様個性的です。

門壁は、公共の場所(道路)に面していることが多いですし、ほとんどの場合長期間そのまま使うものです。

一般家庭では痛いほど強烈な個性を表現する必要はないと思いますが、こんな家族なんです、とさり気なくアピールすることはアリだと思います。

派手にせずに周囲と調和させるというのも、立派な個性です。

【目隠しとしての機能】

特に玄関前や掃き出し窓の前は、「目隠し」が欲しいところです。

そんな時、門壁を設置することで、門壁としての機能とともに、「目隠し」の機能も併用させることができます。

一つの構造物に二つ以上の機能性を持たせるということは、コスト的にもスペース的にもメリットがあります。

特に玄関前の目隠しを門壁と併用できれば、ポストの取り出し・来客の動線などを考えても、機能的に非常に大きなメリットがあるのは間違いありません。

【エクステリアに重厚感が出る】

後述する機能門柱に比べ、門壁は横幅も厚みもあります。

特に駐車場中心のフラットなエクステリアにおいては、それだけで重厚感を演出することができます。

またボリュームのある建物とのバランスから、その門壁の重厚感が空間に調和することも少なくありません。

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門壁のデメリット

一方、門壁のデメリットは、

【コストがかかる】

機能門柱の中でも比較的安価な製品と比べると、少なくとも数倍のコストがかかります。

門まわりに、ポスト・表札・インターホンの「製品機能」のみを求める場合は大きなデメリットと言えるでしょう。

【閉塞感がある】

壁を設置すると、どうしても閉塞感は出てきます。

その感じ方はひとそれぞれ、千差万別ですが、何よりも開放感を重視される場合は、門壁は適しているとは言えないかもしれません。

【場所を取る】

スリムなものが多い機能門柱に比べて、門壁はどうしても場所を取ってしまうことが多いです。

敷地条件や建物配置によっては、壁が無い方がすっきりするのは確かです。

以上、門壁のメリットデメリットです。

機能門柱を設置する

機能門柱とは、ポスト・表札・インターホンが一体型になったメーカー既製品のことです。

主にアルミ製・ステンレス製で、中には照明が内蔵されているものもあります。

数年前に比べ、最近はデザイン性の高い製品も出てきました。

主なメーカーは、

カーポートの記事の際にも紹介した、

Lixil

YKKap

三協立山アルミ

そしてデザイン性の高い製品を数多く羅列している、

オンリーワンクラブ

色々な製品がありますので、ぜひご覧ください。

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機能門柱のメリット

【コストが比較的安価】

製品によっては数万円~ありますので、コストを重視される方にとっては大きなメリットです。

ただし、デザインや機能性を重視した製品の中には高価なものもあります。

その場合は、価格的に門壁を設置するのとそれほど変わらなかったりもしますので、製品選びには注意が必要です。

【開放感がある】

門壁にあるような閉塞感はありません。

高低差が無くフラットで見通しの良いエクステリアや、特にリゾート風エクステリアでは、視界を遮ることの少ない機能門柱の方がフィットしそうです。

【場所を取らない】

門壁に比べ、高さ・横幅・厚み全てにおいてコンパクト。

エクステリアがスペース的に厳しい場合は、機能門柱の方が断然有利です。

【メンテナンス性が高い】

機能門柱にはアルミやステンレス製のものが多く、メンテナンス性が高いのも特長です。

手仕上げの門壁に比べると、圧倒的に汚れは付きにくいと思います。

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機能門柱のデメリット

一方デメリットは、

【デザイン性の自由度が低い】

既製品のため、サイズや形状はある程度決まっています。

色も規定色からの選択となります。

ちょっとした寸法や色味などのデザインが、理想のイメージと違うということもあるかもしれません。

【近所で被る】

デザインと価格のバランスが良い製品は自然と売れるものです。

そしてデザイナーは良い製品を知っています。

そうすると、同じ製品が街中にたくさん存在する可能性が高くなるわけです。

気にする度合いは人それぞれですが、気にされる方はご近所をよく確認しておいた方が良いでしょう。

【イメージ的に軽い】

アルミ製品が多いこともあって、どうしてもエクステリアのイメージが軽くなります。

建物とのバランスという意味からも、空間に軽さを感じてしまうのは否めません。

【表札が自由に選べない】

表札は家の顔です。施主様にはぜひ拘って選んでほしいと思っています。

しかし機能門柱の場合、表札設置スペースが既に決められているために、その選択の自由度がかなり制限されます。

機能門柱に合う気に入った表札が無かった、とは実際に良く聞く話です。

また表札ほどではないですが、ポストにも同じことが言えます。

それらのアイテムに、特に拘りのある方は注意しましょう。

以上、機能門柱のメリットデメリットです。

設置方法の考え方

ここまで門まわりの設置方法として、「建物の外壁・門壁・機能門柱」それぞれの特長をあげてみました。

メリット・デメリット、お分かりいただけましたでしょうか?

選択基準として、まずはコストとデザインがあることを知っておいてください。

コストは最も重要な部分ですが、決してこれだけに囚われないでほしいと思います。

安くて良いものをデザイナーはメーカーのカタログと睨めっこしながら、血眼になって探しています。

探して探して探して、毎年新商品も必ずチェックしています。

それでもコストとデザインのバランスの取れた製品は数少ないんだということを、ぜひ知ってください。

要するに、デザイン性の高いものは価格も高いものが多く、施主様のご期待に添えない場合があるということです。

そして門まわりについては、見た目としてのデザインだけではなく、特に機能性も含めたデザインで考えて欲しいと思います。

門まわりは駐車場や駐輪場、玄関までのアプローチと隣接している場合も多いのが現状です。

門まわりを考える時に最も重視すべきは、「機能的で使いやすい人や車の動き」であることを付け加えておきたいと思います。

設置方法の選び方

・コスト

・デザイン

・機能性

・建物と周辺環境

これらが門まわりアイテムの設置方法の選び方の一つです。

コストとデザインは、どちらを優先させるかは施主様次第ですが、特にコストは全体の予算の枠組みの中でお考えください。

エクステリアデザイナーはプロの視点で設置方法を考えます。

施主様も、建物の計画とご家族のライフスタイルに照らし合わせながら、ぜひ門まわりについて考えてみてください。

最初は当然のことながらコストなんて分かりませんし、デザイン的にも実際にどうなるのかのイメージが良く分からないと思います。

はっきりとした結論は出せなくても構いません。

何となくこんな形が良いんじゃないかなと思うことが、後々役立ってくるはずです。