外構業者やデザイナーに工事の相談や依頼をする前に、”施主様に考えてほしいこと”。
施主様ご自身が、事前に考え準備することで、人によっては躊躇してしまうであろう実際の「問い合わせ」という行為も少し楽なものになるかもしれません。
今回は、エクステリアの「駐車場/駐輪場について」です。
駐車場のプランニングは、エクステリアデザインの中でも最優先されるべき重要な項目の一つです。
駐車場はエクステリアの中でも面積が広い上、日々の生活の中でも車の移動は頻繁に行われます。
運転には免許が必要な上、決して単純な行為ではありませんし、ある意味危険な行為とも言えるでしょう。
駐車時の車の動線、乗り降りの際のスペース、玄関までの人の動線・・・などは駐車場をプランニングし、そのデザインをする上でデザイナーが知ってしかるべき項目です。
施主様に事前にまとめておいて欲しい内容は、
・車の駐車台数
・車の大きさ(車種)
・車の使用頻度(平日利用・週末のみ利用など)
・車での来客頻度
などがあります。
その上で、
・将来台数が増えたり減ったりする可能性
・将来子どもが車で実家に遊びに来る可能性
・大きな車に買い替える可能性
・来客は一時的なものか常時か
・来客の滞在時間
などについてもヒアリングしていきます。
さらに、
・駐車方法(並列・縦列)
・帰ってくる方向と出ていく方向
などについても併せて検討し、最も機能的で使いやすい駐車場について考えていきます。
エクステリアデザイナーは事前に建物の配置図面で道路境界の全長を確認するとともに、プラン作成の前には現場確認し、前面道路の交通量や実質的な幅員、電柱やゴミ置き場などの障害物の有無、隣地境界沿いの塀の高さなど、駐車の際に支障となる可能性のある項目について確認します。
施主様も、ご家族の車利用について考え、まとめてみましょう。
自転車置場は、エクステリアプランニングの中でも見落とされがちな項目です。
見落とされがちなのですが、実際は施主様の生活に非常に密接に根付いていたりします。
自転車を所有していらっしゃる方は、ご要望として「自転車置場」があることをまずはちゃんと伝えましょう。
そして事前にまとめておくと良い内容は、
・自転車の所有台数(将来の可能性まで)
・自転車の利用頻度
・盗難の心配度
などです。
盗難が心配な場合は、自転車置場の位置だったり、盗難防止処置を施すことを考えます。
特に心配な自転車だけ別の目立たない場所にとめる方法も考えられるかもしれません。
これらの項目を初回ヒアリング時にお聞きします。
カーポートとは、駐車場の屋根のこと。
サイクルポートとは、自転車置場の屋根のことです。
エクステリアの中では一般的なものでもあります。
では、本当に施主様にとって
・カーポート・サイクルポートが必要か不要か
以下を参考にご検討ください。
まず両方とも占有面積が大きいため、設置すればエクステリアの中でも最大の構造物になります。
最小サイズのタイプでも、
カーポート・・・2.5×5.0m程。高さ2.2m以上
サイクルポート・・・1.8×2.0m程。高さは2.0m以上
これだけの大きさ・高さがあります。
製品・仕様は各社様々です。
興味のある方は、以下主要エクステリアメーカーのHP等をご覧ください。
正直に申し上げると、デザイン的には設置したくありません。
なぜなら、
・メーカーの製品にデザイン性の高いものが少ないこと(近年はだいぶ改善されてきましたが・・・)
・アルミ製品のため、特にナチュラルなイメージに調和するメーカー製品がほとんど無い(木材などで造作すると高コスト)
・全体のエクステリアデザインの中で、巨大構造物であるカーポート・サイクルポートが中心になりがち(無駄に目立ち過ぎ)
などの理由があるからです。
さらにコスト的な面でも、カーポート(1台分・標準タイプ)・・・20万円程、サイクルポート(3~4台分・標準タイプ)15万円程かかり、他の部分にかけられる予算が削られることになります。
と、デザイン的には設置したくないのが本音ですが、施主様的には機能的に捨てがたいメリットがあるのも事実です。
最大のメリットは何と言っても雨で濡れないこと。
特に、洗車を頻繁にされる方、電動自転車をお持ちの方、毎日使用される方、車や自転車への思い入れが強い方などにとっては、雨で濡れないというのは大きな利点でしょう。
ただし、雨と同時に横風が強く吹いている時などは、それなりに濡れますので念のために。
他にも、
・冬場フロントガラスが凍らない
・フロントガラスや屋根に雪が積もることは無い
・夏場の車内温度の上昇を抑えることができる(特に熱線吸収屋根材を使用した場合)
・ひょう害や糞害を受けない
・汚れが付きにくくなるために洗車回数を減らせる
・乗り降りや荷物の出し入れの際にも人が濡れにくい
・車体塗装の劣化を遅らせることができる
などのメリットがあります。
一方、製品メーカーや、工事で利益を上げる必要のある施工業者はあまり明かしませんが、当然ながらデメリットもあります。
先述したデザイン的に設置したくない理由の他に、
・屋根が汚れる上に、掃除し難い
・雪下ろしが大変(屋根の高さが低いところでも2m以上、隣地に隣接する場合も多く落雪の行方は・・・)
・雪下ろししないと、損壊・倒壊する可能性がある
・建物屋根からの落雪で、損壊する可能性がある(近年は太陽光パネルからの落雪被害も)
・柱が邪魔(駐車時に車の横を通る際に)
などのデメリットがあります。
例えば両方設置するのがスペース的に難しい場合は、
・カーポートを一回り大きいタイプにしサイクルポートと兼ねてしまうという方法
・建物に軒があれば、カーポート屋根と連結・隣接させ、そこを自転車置場として利用する
などの方法が考えられます。
コスト的に両方設置するのが難しい場合は、
・将来設置しやすいように、柱の部分はコンクリート等で固めずに砂利などで仕上げておく
・カースペース/自転車スペースを屋根を付けること前提でプランニングする(位置・広さ等)
と良いと思います。
今回はエクステリアの「駐車場/駐輪場」について、施主様に事前に考えておいてほしい部分を記事にしてみました。
いかがだったでしょうか?
もちろん、未定のことや分からないことがあっても構いません。
敷地条件は様々ですし、施主様の生活様式も様々です。
特に拘りが無ければ、逆にお任せでも構いません。
現段階で確定していることはぜひお伝えいただき、不明確なことは施主様だけで無理に結論を出そうとせずにそのままご相談ください。
打ち合わせでは施主様が気づき得ないようなことも含め、率直にお話しさせていただきます。
メリット・デメリット・アイデアを参考にしていただき、まずは問い合わせの前に施主様ご自身の考えをまとめてみてください。
きっと、いつかは必ずすることになる「問い合わせ」のハードルが下がるとともに、最初の打ち合わせでも役立つはずです。