エクステリアの3つのスタイル。
今回は「セミクローズエクステリア」についてです。
「オープン」や「クローズ」に比べ、いまいちイメージが付きにくい「セミクローズ」エクステリア。
一体どんなものなのでしょうか。
詳しく解説していきたいと思います。
セミクローズエクステリアとは、オープンとクローズを組み合わせたエクステリアのことです。
具体的には、
・駐車場と駐輪場はオープンで、それ以外は門扉やブロック塀などでクローズされている
・駐車場と駐輪場と玄関まではオープンで、建物まわりと庭が門扉などでクローズされている
などの例があります。
実際の施工事例を見てみましょう。
こちらのエクステリアは、「駐車場と駐輪場はオープン」で、「それ以外の部分は門扉と壁・ウッドフェンスでクローズ」となっています。
部外者が入ってこれるのはクローズ部分の手前まで。
埋め込み式のポストにしたことで、郵便物もオープン部分に出ることなく取り出すことができます。
こちらは駐車場と駐輪場、そして玄関までがオープンとなっています。
高低差もあり、駐車場の機能性を考えても、玄関階段下に門扉を設置しない方が良い事例です。
一見すると完全オープンスタイルですが・・・
庭の入り口と、建物まわりの入口にはこのように門扉が付いていて、クローズ仕様となっています。
このようにエクステリア全体の中で、オープンな部分とクローズな部分を組み合わせたスタイルのことを「セミクローズエクステリア」と呼んでいます。
では一体、どんな特長があるのでしょうか。
以下、説明していきたいと思います。
オープンとクローズを組み合わせることで、その両方のメリットを同時に取り込むことができます。
駐車場と駐輪場は、扉の開け閉めが無く機能的。
毎日車を使ったり、自転車での送り迎えがあったりすると、どうしても門扉の開け閉めが面倒です。
オープンエクステリアでは、その手間がありません。
一方、クローズされた庭はプライベート性が高くなります。
例えばペットを飼っていらっしゃる方。
ちょっと庭で自由に走り回らせてあげたいと思うことはありませんか?
また、小さいお子様がいらっしゃる方。
庭で気兼ねなく遊ばせたいと思うことがあるかもしれません。
そんな時、入り口部分がクローズされていると何かと安心ですよね。
このように、オープン・クローズのメリットを両方取り込むことができるのが、セミクローズエクステリアの最大の特長です。
完全クローズなエクステリアは、どうしても高コストになりがちです。
門扉・フェンス・ブロック塀・オーバードア・伸縮門扉と、敷地を囲うためにはそれこそ様々なアイテムが必要で、数量も距離も必然的に多く長くなってしまうでしょう。
一方セミクローズエクステリアでは、必要最低限のアイテムでクローズ部分を作り出すことが可能です。
施工事例2つ目のように、玄関までオープンにすることを割り切ってしまえば、門扉を2つ付けるだけで建物まわりと庭部分をクローズにすることができます。
コスト的にはバランスが取りやすいスタイルであると言えるでしょう。
メリットの良いとこどりでコスト的なバランスも良いとくれば、セミクローズエクステリアが最も良いスタイルと思いがちですが、実際はそうでもありません。
やはりこのスタイルにも、適した条件というものがあります。
クローズする部分にある程度の余裕がないと、窮屈なエクステリアになってしまいます。
例えば建物まわり。
エアコンの室外機や給湯器がどんと置かれていて、通路が狭いといったことはありませんか?
建物まわりは50~60cm程しかスペースがない場合も多く、門扉を設置するスペースが取れないこともあります。
同時に、例えば門扉であればその可動範囲に障害物があってはいけません。
ちゃんと開け閉めできるスペースが取れるか。
エクステリアで門扉等を設置する際の絶対条件です。
オープンな駐車場や駐輪場と隣接する場合、前面道路や玄関までのアプローチとの兼ね合い、庭の園路や植栽等の障害物との兼ね合い、境界ブロックフェンスとの兼ね合い・・・。
これらをクリアしながらもクローズ部分を設けるためには、エクステリア全体にある程度の余裕が無いと難しいと思います。
せっかくエクステリアの一部をクローズしても、境界沿いや建物際が空いてしまっていたりして、機能的に意味の無いものになってしまう場合があります。
オープン寄りのセミクローズ的な考えのもと、門まわりにあえてデザイン的な開口部を設けている場合は良いと思います。
それ以外の場合、閉じたいところがちゃんと閉じられないような条件では、結果的にオープンと同じになってしまいますのでコスト的にもスペース的にも無駄が生じることになるでしょう。
閉じたい部分をちゃんと閉じられるか。
その目的を見失わずに、ちゃんとプランニングできるかどうかがセミクローズエクステリアを採用するポイントです。
コスト的にいくらバランスが良いと言っても、それは完全クローズなエクステリアと比較したときの話です。
オープンエクステリアに比べると、やはり割高になります。
クローズする範囲にもよりますが、予算的な余裕もある程度は必要です。
予算的に、クローズ→セミクローズの場合は現実的ですが、オープン→セミクローズとなると実現しないことが多い気がします。
もしエクステリアをクローズタイプ・セミクローズタイプしたいご希望があれば、建物計画と同じ早めの段階でその予算も確保しておくことをおすすめします。
以上、セミクローズエクステリアの特長と条件でした。
オープンとクローズ両方のメリットを取り入れることができるのが、セミクローズエクステリアです。
しかしながら敷地条件や予算によっては、逆に両方のデメリットを取り入れることになってしまうこともあります。
“バランスが良い”のと”中途半端”なのとは全く違いますので、そういう意味では最もプランニングが難しいスタイルであると言えます。
特に敷地条件や建物の配置が、セミクローズエクステリアの場合は密接に絡んできます。
施主様のご希望を何となくまとめつつ、詳細はご相談ください。
施主様に考えていただきたいポイントは、オープンもしくはクローズしたい範囲です。
前面道路に対して、
①駐車場と駐輪場は・・・オープンorクローズ
②道路から玄関までは・・・オープンorクローズ
③庭と建物まわりは・・・オープンorクローズ
大まかですが、まずはこの①②③を考えてみてください。
組み合わせによって、3つのスタイルが分かってきます。
①オープン②オープン③オープン・・・オープン
①オープン②オープン③クローズ・・・セミクローズ※施工事例2つ目
①オープン②クローズ③オープン・・・セミクローズ(オープン寄り)
①オープン②クローズ③クローズ・・・セミクローズ※施工事例1つ目
①クローズ②オープン③オープン・・・セミクローズ(ほとんどない)
①クローズ②オープン③クローズ・・・セミクローズ(ほとんどない)
①クローズ②クローズ③オープン・・・セミクローズ(ほとんどない)
①クローズ②クローズ③クローズ・・・クローズ
このように、大まかではありますが、ある程度適したスタイルが分かると思います。
エクステリアの主要3スタイル、「オープン・クローズ・セミクローズ」。
それぞれの主要なメリット・デメリット、お分かりいただけたでしょうか?
施主様にはぜひ一度ご検討いただき、打ち合わせ・ご相談の際に役立てていただければ幸いです。