建物前面、道路沿い部分の花壇スペースへの植栽のご依頼をいただきました。
当初から空いていたこのスペース、お忙しい中、なかなか手も付けられず、お悩みのご様子でした。
後々の管理やメンテナンスなどのことを考えると、草花なども、ご自分ではそう気軽には植えられないことから、今回ご相談いただきました。
それらを踏まえ、植栽後は手もあまりかからずに、建物とも調和するような、そんなプランをご提案いたしました。デザインコンセプトは”Dry Garden”です。
まず、ある程度高さのある樹木を植えることで、空間に高低の変化を付けました。
花壇スペースと言っても、ただ草花を植えるだけでは、ともすると単調になりがちですし、何よりも後々の管理が大変です。今回は特に、メンテナンス性にも配慮してあります。
また、この場所はもともと、前面道路と高低差のある建物から出ている設備配管を隠すために、ブロック積み+盛土された場所でした。水はけはいいのですが、乾燥しがちな場所です。
植栽においては、その水はけの良さと、モノトーン配色のガルバリウム外壁の建物のイメージを、共に生かせるよう、乾燥に強くモダンな植物を選びました。
オリーブ”エル・グレコ”は、きれいな円錐形に自然となっていきます。葉が他のオリーブと比べると細身で艶もあり、非常にきれいです。
フェスツカ・グラウカも乾燥を好む植物ですので、この場所にはぴったりですね。
ご家族で収穫もお楽しみいただける、「ヒメイチゴノキ」は、ウッドフェンス前のナチュラルな既存植栽ゾーンと、”Dry Garden”とのつなぎの意味合いもあります。
真っ赤な可愛い実が成るのが今から楽しみですね。
植え付け時には、黒土に腐葉土をミックスし酸度調整してあります。
グランドカバーも取り入れ、雑草対策も意識しています。さらに何年後かには、低木類とともに、設備配管や建物基礎まで、うまく隠してくれることと思います。
外水栓左側に植えられた、アベリア”コンフェッティ”は花と斑入りの葉、右側のレモンマートルは葉の香りを楽しむことが出来ます。手を洗いながら、アベリアの花が目に入り、辺りにはほのかにレモンの香りが漂っている・・・そんなシーンをイメージしました。
この場所の左側には、もともと、4~5月に花が咲くハナミズキ・サツキツツジが植えられていました。
今回の新たな植栽は、それらも意識し、全体で年間を通して、花や実をお楽しみいただけるような構成にしてあります。
まだまだ、樹木1本1本のボリューム感が不足している感は否めませんが、その成長も併せてお楽しみいただけたらと思います。
1年ものの草花が中心の花壇のような、色とりどりの華やかさはありませんが、それがかえって自然で、街並みにもなじみます。
そして、ささやかに咲く花や、熟した一つ一つの実はより引き立つこととなるでしょう。
今後、年間を通じて色々な楽しみが待っている、あまり手のかからない、モダンな”Dry Garden”が完成しました。